M&A支援機関登録とは、
2021年8月に中小企業庁が創設した制度です。
近年、中小企業の後継者問題の解決や業務の効率化、企業の成長を図る手段としてM&Aに対するニーズが高まるにつれ、M&Aの支援業務を行う事業者の数も急激に増えています。その結果、M&Aの知識や経験が少ない事業者が乱立し、依頼企業との間でのトラブルも増えました。結果として、どのM&A支援機関に依頼すれば良いのかの選択も難しい状況となってしまいました。
そこで、この玉石混交の状態を解消するために、一定の基準を満たした支援機関を登録し、中小M&Aガイドライン遵守を約束させ、中小企業が安心して支援機関を選ぶことができるようにすることを目的にM&A支援機関の登録制度が創設されました。
M&A支援機関として登録するために
必要な主な要件は以下の3点です。
1. 中小M&Aガイドラインの遵守
中小企業庁が発表した中小M&Aガイドラインでは、中小企業のM&A支援業務を行う機関に対して一定の透明性や公正性を確保するために、具体的にどうすべきかの行動指針が示されています。登録を希望する機関は、このガイドラインを遵守しなければなりません。
2. FA・仲介業者が定める料金表(料金を定めた規程類等)の提出
どのような報酬体系となっているのかを明確にし、申請時に料金表を提出します。報酬体系に公正性が付与されます。
3. 顧客が情報提供窓口(※)へ相談することの制限の禁止
登録支援機関にM&Aの支援業務を依頼した場合は、登録支援機関とどのような内容の契約書を交わしていたとしても、依頼した企業はなんの制約もなく情報提供窓口に相談できることになります。
さらに上記について仮に虚偽の内容を含む申請を行った場合は、登録が取り消されるだけなく、民法上および刑法上の法的責任が問われる可能性が生じることになりました。
(※)情報提供窓口の設置
依頼した企業側がM&A支援機関に対して問題があると感じた場合の
相談・通報窓口がM&A支援機関登録事務局に設置されました。
相談・通報先:M&A支援機関登録事務局
URL:https://ma-shienkikan.go.jp
E-mail:touroku-support@ma-shienkikan.go.jp
電話:03-6867-1351(10時~17時 平日のみ)
M&A支援機関へのご依頼の
メリットについては以下の2点と考えます。
M&A支援機関登録を済ませた事業者は行政機関からに管理されることになります。
また、問題が生じた場合の通報窓口も設置されたことにより、
登録された支援機関であれば安心してM&Aの支援を任せることができるようになりました。
M&A支援機関に登録している事業者に依頼した場合は、その費用の一部が事業承
継・引継ぎ補助金(専門家活用型)の補助対象となります。
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まとめ
中小企業にとって、M&Aは、従業員の雇用や地域経済の基盤を守り、
技術力を次世代に伝承することができるとても有効な手段です。
しかし、昨今のFAや仲介業者の急激な増加は、M&A業界の混乱を招き、
かえってM&Aを躊躇せてしまうケースが少なからず生じていました。
M&A支援機関登録精度が創設されたことにより、
依頼企業側がM&A支援機関を選択しやすくなるとともに、
支援機関側にとっても遵守すべきガイドラインが明確になるとともに、
行政機関に登録されることによる信頼が得られやすくなりました。
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